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雪の降らない僕らの街に -YUKIHURA-

雪の降らない僕らの街に -YUKIHURA-

第七話「燃える家の先に見たもの」

考えた末、清野は二人の元へ近づいた。

清野「早く逃げるぞ!このままじゃ、四人ともつかまってしまう」

そう大声で言いたかった。でも凧八のことを考えるととてもそんな大声で言うことはできなかった。少しの間、沈黙していた。みんながみんな・・

「・・・・しょうがないなぁ」

口を開いた。

「俺の能力は火だ。さっきも言ったように空気の中の酸素を圧縮して火を出してる。つまり、火をつけるのに、燃やし続けるのに必要不可欠なのは酸素だ。」

鶴梨がいった。

「早く二人とも行け!この家は大丈夫だから。」

さらに続けていった。その声は大きく、頼もしく、優しい声だった。清野もこれに続けて、逃げようと思っていた。逃げることになると思っていた・・・。

「俺ものこる」

そういったのは、共乃介だった。それもそうだ。友を置いて逃げるなんてことはできない。
凧八は何もいわなかったが逃げないことはわかっていた。
「そうか」
鶴梨は深くそういった。そして、指を額に当てて唱え始めた。凧は、消火剤を使って火を消し始めた。共乃介は、消火剤をまくのを手伝った。
清野はその場に立ち尽くしていた。どうすることもできなかった。探そうと思えば、三人で消火剤をまくこともできたが、そんなこともできなかった。そんなことを考える余裕もなかった。さっきまで、みんな逃げると思っていたのにそんなことはみんな、考えていなかったからだ。ちょうどここに来る前、学校でいじめられていたことを考えていた。自分が助かる方法しか考えていなかったからいじめられていたのかなぁ。そう思って涙が出そうになった。
本当に涙が出そうなのは凧八だ、そう考えることもできない状態だった。


不意に鶴梨が、燃え盛る家に向かって指を向けた。すると火がみるみる小さくなっていった。

清野「・・なんで?」

そういった。そういうしかできなかった。

つる「火が燃えるのには酸素が必要だ。俺は酸素を操ることができる。じゃないととても酸     素を圧縮することなんてできない。」

つづけて、酸素を別の場所に移している、こういった。奇跡だった。もうだめかと思っていたが小火(ぼや)ですんだのだ。凧八は泣いてお礼を言って謝っていた。さっきの大竹戦で、多少なりとも疑っていたことを謝っていた。同時に同じことを共乃介もやっていた。清野は、ただ自分の不甲斐なさに激しい悔しさを覚えていた・・・。

そのとき、つるは異変に気づいた。



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